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ボクは『蛇にピアス』を読んだ…

最初の何10行を読んだ時

ボクとしたことがどういう風の吹きまわしか、第134回「芥川賞」受賞作『蛇にピアス』を読んでしまったのだ。金原ひとみさんという21歳の女性の作品である。

最初の何10行かを読んだ時「これは読めないな。俺には無理だ。付きあいきれない…」といったん投げ出した。

舌にピアスをする話でピアスのサイズはゲージという単位で表されるそうだ。

その数字がごちゃごちゃ説明されていて、それだけでうんざりし「もう、やめてくれ。勘弁して欲しい」と思ったのだ。

でも、ボクは「これは読まなければならない」という義務感があって、それで再度、挑戦したわけである。

一つはこの小説が載っている『文藝春秋』を友人の田中さんからプレゼントされ「ぜひ、読んだ感想を教えて下さい」と言われていたからだ。

もう一つは歌枕から「どうせ山本さんは読むわけないんだから…」と言われてしまったこと、この二点がボクを刺激したのだ。




“適当人間”が書いた“適当小説”

ずばり言う。一気に読めた。なにしろセンテンスが短くて歯切れがいい。それにびっくりしたのは作者がストーリーテラーだったことだ。

それをいうならこんなに平凡で昔風のストーリー展開だとは、まさかボクはこの小説を読むまで思ってもいなかった。

若者の適当な恋愛。適当な三角関係。それに適当な殺人事件。題材はピアス、刺青、SEXという青春のこれまた適当な三種の神器。

そうしたら受賞の言葉の中に彼女は“適当に”“適当で”“適当さ”と、「適当」という言葉をなんと5回も使っていた。

わかった。金原ひとみさんの書く小説は、ボクとしては“適当小説”と呼びたい。

そう考えると『蛇にピアス』の謎がすべて解けた。彼女は適当に小説のことをよくわかっている。

だからこれからも彼女は適当に小説を書いていくんだろう。なぜなら彼女自身が“適当人間”だからだ。そのため『蛇にピアス』に余計な解釈はいっさい必要ないのだ。

そのかわり適当なうまさはある。登場人物はアマ、ルイ、シバの3人。あとでそれぞれ本名が天田利明、中沢ルイ、柴田キヅキとわかる。

でも全編、アマ、ルイ、シバでないとこの小説は成り立たないのだ。

適当とは等身大以上のことにはならないということである。そういう“せつなさ”を感じさす適当な青春を描いたもの。ボクはそう理解した。





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