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単独同盟

 4月30日(日曜)早朝4時。富士山の須走5合目駐車場に到着すると、冬用タイヤがなければ危険なほど、あたり一面は銀世界だった。

 1時間の仮眠中に日が昇り、4月最後の優しい朝日が車内に飽和する。

 シルエットだった富士山がベールを脱ぐと、昨年の雪不足が信じられないほど、アイスキャンデーのような独立峰が我々を迎えてくれた。
 
 「今日は松田さんに悔いのない登山をして欲しい。だから、お互い単独行のつもりで登ろう」

 毎週の山登りで両膝を痛めていた先輩は、自分が山の頂に立つことはないと悟っていた。
 
 出だしはいつものように映画談義に花が咲いていた2人の距離も、6合目の樹林帯を抜けると徐々に開き始める。

 そして、7時30分。先へ進む私の前に突如、侵入者が現れた。白い魔境の牙、雪を拾い集めたブリザードだ。

 風速20メートル強の吹雪がマシンガンのように容赦なく身体を打ちつける。

 私はなんとか耐えて7合目の小屋に身を隠した。その陰から恐る恐る頂上を覗くと、思わず瞳孔が開いた。

 激流のように右から左に舞う雪煙。そう。昨年、エヴェレストの頂上で吹き荒れたジェットストリームそのものだった。

 「無理だ・・・危険すぎる」

 私は富士山に背を向け、50メートルほど下った。そこに先輩が追いついてきた。

 「今日は無理です! 帰りましょう!」

 すると、先輩は黙ってスマホを取り出し時刻を見た。朝の8時30分。

 「まだ早い! 行けるところまで行こう! せっかく気持ちいい風が吹いてきたところだ」

 いやいや・・・マジか? 納得がいかず、口を真一文字に結んで立ち尽くす私を、先輩は追い越し先へ進む。
 
 仕方なしに私はアイゼンを締め直し、高度障害の頭痛薬に1錠だけもってきたバイアスピリンを飲み、先輩の背中を追った。

 すぐに追い抜き、あとは無慈悲な暴風との一騎打ち。先に登っていたスキーヤーも撤退を始める。

 10時40分、先輩は8合目で下山。

 Facebookのメッセンジャーに「危険だから松田さんも下りたほうがいい」と送ったようだが、気づいたのは1時間後。

 富士山を独占していた私は、もはや何があろうと下りる気などサラサラなかった。いよいよ本当の単独行が始まった。


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