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母日逃避 |
5月11日。アチャー。まいったなあ。昨日の日記に、谷保(やほ)さんのことを“ヤボさん”と書いてしまった。これはこれは、とんだ失礼を・・・。ヤホさん、ゴメンナサイ。
アチャー。もうひとつまいったことがある。 今日は国際展示場(ビックサイト)に、GEISAIを見に行くことに。「日本に新しいアートマーケットを」のスローガンで開催されるアートコンテスト。ターちゃんがチアマンである村上隆氏から招待された。そこに、なんと塾生の木谷先生が出展するという。だったら絶対に見に行かなければ! 谷ケンと湊君も一緒だ。
午前中に日記を書きあげ、12時ごろ家を出ようとする。支度を整えリビングへ行くと、母がひとりで食事をしていた。 んっ? なんだか様子がおかしい。明らかに不機嫌。 「ちょっと出かけてきます」 と、声をかけるが反応なし。 (なんだかイヤだなあ) 何か言われる前に家を出ようとする私に向かって、重々しく口を開けた。 「今日、何の日か知ってる?」 えっ、今日? 日曜日でしょう。 「母の日よ。夜みんなで食事をするためにレストランを予約したの。新小岩の中華料理店よ」 ゲーっ! 母の日かあ。すっかり忘れていた。私は実家暮らしのため、日頃母には世話になっている。何の準備もしていない。 「間に合うようだったら行くよ」 そう言ってなかば逃げるように飛び出した。
13時半、ようやく新橋に到着。ターちゃんと谷ケンが待っていた。湊君は一足先に会場へ。 ゆりかもめに揺られてビックサイトに向かう。レインボーブリッジや観覧車は、いつ見てもキレイだなあ。 ビックサイトの入り口からかなり歩く。ようやくGEISAI会場に着く。 すぐに木谷先生の作品を見る。ウワー、かわいい! 木谷先生、こういう絵も描くんだね。明るい色で描かれた女性。ケーキ。家。私はすぐに幸せな木谷一家をイメージした。
この会場には600点以上が出品されている。私たちはひとつひとつを見て回った。いやー、おもしろい。みんなそれぞれが個性的。自分らしさを表現している。絵もあれば写真もある。オブジェもあれば書もある。しかけもいろいろ。アイディアがすごい。 細かく区切られたブースごとに作品が飾られている。そこにチョコンと製作者が座っている。しかし、不思議なことに、なぜかみんな暗い。人が近づいても話しもしない。せっかく作品に興味をもって見ているんだから、ちょっと紹介ぐらいしてくれてもいいのに・・・。 湊君は、ダジャレを使った駄美術の作品が気に入って、作品集を買っていた。 「ボク、こういうの大好きなんですよー」 へえー、一橋大の学生でもそういうのが好きなんだ。意外だなあ(笑い)。
全部を見て回るのに2時間以上もかかった。さすがにみんなグッタリ。銀座の元祖カツカレー屋「スイス」へ夕食を食べにいく。内心、家族との食事会を思い出したが、どうも気がのらない。ターちゃんや谷ケン、湊君といる方が刺激的で楽しい。とりあえず後回しにしよう。
7時、有楽町駅で解散。私とターちゃんは秋葉原のBECK‘Sでコーヒーを飲む。今日はせっかくおもしろいものを鑑賞したので、この刺激を自分の文章にいかしたい、と話し合った。 1時間ほどで電車に乗る。8時過ぎに新小岩に到着。 仕方ない。顔を出していくか。家族がいる中華料理屋へ。私の顔を見るなり、子どもたちが大喜び。フウ、それだけでも来た甲斐があった。 杏仁豆腐だけはしっかり食べていく。アッ、そうか、母の日だった。 「お母さん、いつもありがとう」 そんなこと、照れくさくてとても言えたもんじゃない。お願い、誰か代わりに伝えておいて。
先日、久しぶりに私が生まれてすぐの頃の写真を見た。私を抱く母の姿が、驚くほど今の私とそっくりだった。それを見ていたら、本当に親子なんだと実感した。無性にうれしかった。
ターザンカフェより)
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