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蕭白狂人

 午前8時30分、上野発の特急、スーパーひたちに乗って土浦に行く。9時17分に到着。特急券900円。乗車券1110円。

 土浦駅に着くと、雑誌「競馬 最強の法則」の編集者、S女史が車で待っていた。彼女の運転で美浦トレーニングセンターに行く。今日の取材は、若手ジョッキーの石橋脩騎手をインタビューすることだ。

 カラー6ページを予定。彼は東京生まれ。ダビスタという競馬のゲームが好きで騎手になった変わり種。

 A型。23歳。同期には岡田騎手や長谷川騎手がいる。デビューした年に「新人賞」を撮っているので素質はあるのだが、まだ重賞レースを勝っていない。

 それが彼の大きな課題になっている。これまでほとんどインタビューを受けたことがない。マスコミ嫌いという噂もあった。

 カメラマンがカメラを向けると、必ず顔を下に向ける。カメラも苦手とか。しかし、なぜかそんな彼が今回、競馬専門誌の取材を受けることになった。

 それは、一つには彼が所属している柴田政人厩舎の師から「取材を受けてこい!」と言われたからだ。

 S女史と車の中で2人して心配になった。質問しても何もしゃべらなかったらどうしよう。困ったねというわけだ。

 え〜い、こういう時はいろいろ考えても仕方がない。現場主義に賭けるだけだ。当たって砕けろの精神である。


 彼が住んでいる寮に迎えに行く。それから個室のある喫茶店に行って取材を始めることになった。

 ウーン、顔を見て思った。はっきり言って、目鼻立ちが整っていてハンサムだ。きれいな顔をしている。もったいない。スター性があるではないか。

 マスコミにコメントしてもそれが活字になった時、違ったニュアンスで書かれることが多かったので取材を避けるようになったと言った。

 なんだ、そういうことだったのか。それなら話は簡単だ。目を見ると、澄んだ瞳をしていた。何かをこちらに訴えるような形でメッセージを送っている。

 それを私は察知したので、取材はもう大丈夫と確信した。案の定、1時間40分もインタビューできた。

 これにはS女史も「よく話をしてくれたよねえ。よかった、よかった・・・」と喜んでいた。インタビューは成功である。

 プロだからマスコミにはサービス精神を持って接した方がいいよ、と私は彼にそうアドバイスした。

 それが自分のためになるからだ。現在、ジョッキーの多くはトップクラスになると、レースで乗る馬はすべて個人契約をしているエージェントに任せている。

 その方が騎手として騎乗に専念できるからだ。ところが、彼はエージェントを持っていない。その仕事まで自分でやっているのだ。

 それは大変だよ。今、いろんなスポーツ業界でもスター選手には必ずエージェントがついている。

 いやあ、びっくりした。本当を言うと、彼は自信家である。ただ、今は乗る馬に恵まれていない。チャンスがないだけなのだ。

 そのうち絶対に予想もしなかった幸運がまわってくる。それまでの辛抱だ。それもまたプロの仕事である。


 午後1時30分、土浦駅から普通列車に乗って上野に帰る。午後2時50分に着いた。暑いなあ。真夏だ。

 駅から歩いて10分のところに東京国立博物館がある。そこで今「対決 巨匠たちの日本美術」展をやっている。

 私はそれを見に行くことにした。今週の土曜日“ビジュツイッキ塾”でこの展覧会を課題にしたからだ。

 入場料1500円。シニア料金はなし。12人の美術家が作品で対決しているのだ。中にはいって驚いた。

 私はこの対決シリーズは作品ひとつでやっていると思っていたら、たとえば雪舟VS雪村は雪舟が五つの作品、雪村は六つの作品が並べられていた。

 もう、それだけで私は圧倒された。アチャーだ。永徳VS等伯は八つの作品。長次郎VS光悦は12。

 歌麿VS写楽も同じく12。つまり、この12人の対決シリーズでは全110点の作品を見てまわらなければならないのだ。

 じっくり見ていったら、最低でも2時間。本気になったら3時間は必要。しかも、館内はもう昼間なのに人、人、人なのだ。

 完全にこれはヒット企画。アイデアの勝利といえる。しかも、その作品にはすべて見るものを圧倒するパワーがある。

 屏風の大きさには目を見張った。縦に大きく、横に長い。部屋が相当広くないと、あの屏風は似合わない。

 日本人はこじんまりしたものや細部の表現にこだわりを持った作品が多い。この固定概念をあの屏風絵で破壊された。

 これはすごい展覧会だ。私がこの5、6年に見たものの中では明らかにナンバー1。マティス展を超えた。

 それぐらいインパクトがある。エネルギッシュだ。スケール感がある。掛け軸のある空間、茶碗のある生活。木像のある風景は想像できても、屏風絵のある風景は想像できない。

 それをなんのために、どこに置いていたというのか? 圧倒的にパワフルである。小さな家、狭い部屋で生活している人間には信じられない世界だ。


 屏風ショック。もうそれに尽きる。あれはミケランジェロの宗教画に匹敵する。屏風絵VS壁画だ。私が最も衝撃を受けたのは、蕭白(しょうはく)である。

 この人は一体なんなんだ。狂っている。この狂っているというのがまた、たまらない魅力なのだ。

 ある屏風の前では変な話、私はオエッといって物を吐きそうになった。気分が悪くなったのか、それとも自意識が平衡感覚を失った。そのどちらかだ。

 個人的な感想としては、私は蕭白のひとり勝ちという印象を持った。これはあくまで私の独断と偏見である。

 こういう独断と偏見が、実は限りなく楽しいのだ。みなさんもそうした私的独断と偏見を大いに持って欲しいものだ。

 ただボーっと見てまわるだけではつまらないだろう。とにかく、わかったことがある。芸術家とは、その想像力がどれだけのフィクションを形成しているかである。

 それを証明するのが作品である。想像力から創造力へ。彼らの創造力は完璧にもう一つの宇宙だ。

 5時、閉館。これは早過ぎる。4時半になると、もう館内アナウンスで閉館時間が知らされる。

 これでは勤め人は見れないではないか? ナイター展覧会を考えろである。見終わると、博多の山崎夫妻と内博(ウチパク)さんに、この美術展を見なかったら日本人を辞めるべきだと伝えた。


 7時半、飯田橋の「デニーズ」に谷賢と湊君が原稿を持ってくる。何? まだ「対決 巨匠たちの日本美術」展を見ていない?

 「あのね、君たち若い人はボクより先に見に行かないとダメだよ。先手必勝の精神を忘れるな。それが若者の特権なのだ」。

 私に言われて見に行くようでは、君たちの人生も知れている。そう思わない? 谷賢、お前の原稿はこのところ毎回、就職活動の報告レポートばかり。今回も面接の話か?

 それを連続ドラマ風に書いてきても、こっちは飽きたよ。それなら映画「イースタン・プロミス」を見たんだろう? そっちの方を書けよ。湊君の文章は、自分の毎日の生活のダラダラ感をそのまま書いてきた。

 これをもうちょっとうまく加工すると小説になる。そのためには、東京という都会にもっとパーソナリティを与えろ。それを意識して書くのだ。

 君のテーマは自分であり、東京であり、都会なのだ。ドラマのない毎日を生きている自分。

 その動機なき人生を、空気だけ吸って生活している姿を、ドキュメント風に書いていくのだ。

 お前の最大の好物は空気だ。空気を主食にして生きている若者。「空気生活者のある1日」というのはどうだ?

 そういう小説を書いてみろ。「ボクは空気を御馳走にして毎日を生きています。だから、お金はいりません・・・」というのはどうだ・・・?

 それはもうSFにもなるぞ。やってみるつもりはないか? やれである。まあ、それにしても毎週木曜日、君たちは必ずここにくるよね。

 それだけは感心する。あとで必ずこれが生きてくるから心配するな。今日の“四字熟語”は、蕭白狂人にする。


ターザンカフェより)

★ 7/26(土)18:00より、“ビジュツイッキ塾”をおこないます。
課題「対決 巨匠たちの日本美術」(http://www.asahi.com/kokka/
東京国立博物館 平成館(http://www.tnm.jp/
場所:喫茶室「ルノアール」ニュー秋葉原店
http://www.ginza-renoir.co.jo/renoir/index.html
参加費:1000円(美術館代・ドリンク代は自己負担
電話番号 03-3251-0210
所在地 千代田区外神田1-16-10ニュー秋葉原センタービルB1

★ ターザン山本! のポッドキャスト:http://tarzanpod.cocolog-nifty.com/blog
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